ヨガをしている時、立ちくらみやめまいが起きて、目の前が真っ暗になる・・・そんな経験をする人は少なくありません。

とくに、太陽礼拝の立位前屈や立位のピラミッドから起き上がる時、フラーっと、倒れそうになることが多いようです。
実際、ヨガレッスンでは、倒れるまではいかずとも、立ちくらみや目まいが起きてしゃがみこんでしまう生徒さんもしばしば見かけますし、私自身も体調が良くない時はたまにフラっとします。

今回は、ヨガでのフラフラ感に悩んでいる人に向けて、立ちくらみや目まいを防ぐにはどうすれば良いのかをまとめました。

ヨガでの立ちくらみや目まいを予防するには?

ヨガで立ちくらみや目まいによるフラフラ感が起きやすいのは、立位前屈から上体を起こす時や、バックベンド、いわゆるラクダのポーズやブリッジなどの後屈ポーズから戻る時。

レッスン中は、後屈よりも前屈をやる頻度が多いので、立ちくらみや目まいも立位前屈ポーズを行なった時に起きる場合が多いようです。

立ちくらみ・目まい予防方法 前屈ポーズの場合

↑ 太陽礼拝の9から10のポーズの時に、立ちくらみや目まいが起きやすい。

 

前屈時に立ちくらみや目まいが起こるメカニズムは・・・

前屈から起き上がる時に、たくさんの血液が急激に上半身から下半身に流れ落ちるので、心臓や頭部の血流が不足します。
すると、反射神経は、心拍数を上げて上半身の血管を圧迫、心臓や頭部から血液が流出するのを防ぎます。

そうした生理機能により、心臓や首、頭部の血管に圧力がかかって立ちくらみや目まいが生じるのです。

 

前屈時のフラフラ感を予防する5つの方法をご紹介します。

1、前屈から起き上がる時に、膝を曲げて、頭と心臓を平行にしてからひざを伸ばして起き上がる。

この方法は、太陽礼拝などフロー系のヨガをする時に使えます。

2、上体を起こすときに、あごを引いておへそを見ながら、猫背になって背骨の下から徐々に、頭が最後になるようにゆっくりと起こしていく。

ロールアップと呼ばれる方法です。

1、2の方法は、頭部から急激に血流が流れ落ちるのを防ぐので、立ちくらみや目まいが起きにくくなります。

3、起き上がる時に、ふくらはぎと太もも、腹部に力を入れる。

下半身の筋肉を収縮させることで、脚の静脈から心臓に向かって血液を押し出すので、頭部や心臓周辺の血流不足による立ちくらみや目まいを防ぐことができます。
上記1で、膝を曲げてふくらはぎと太もも前面の筋肉を使った状態で起き上がる時に、下腹部に力を入れて、お腹を引っ込めるようにするとより効果的です。

4、アーサナは目を開けて行う。

ヨガは集中すると目を閉じてポーズをしたくなることもありますが、基本は目を開けて行ないます。

目を閉じると平衡感覚がおかしくなって転倒の危険があるだけでなく、目を開けた時に立ちくらみが起きやすくなります。
前屈している時も、起き上がる時もしっかりと視線を定めることによって、フラフラ感が改善することも多いのです。

5、息を深く吸いながら上体を起こす。

前屈している時、息が止まっていませんか?
深い呼吸は、ヨガの基本です。

呼吸が浅くなると、脳や心臓が酸素不足になり、立ちくらみや目まいといった症状が現れます。
息を深く吸いながら起き上がるようにすると、胸部や頭部への圧力が下がり、血液の流れが良くなるので、フラフラ感を防ぐことができます。

立ちくらみ・目まい予防方法 後屈ポーズの場合

 

↑ 心臓より頭が下になるバックベンドポーズも、立ちくらみや目まいを起こしやすい

ラクダのポーズやブリッジなどで目まいが起きる場合、首を過剰に圧迫しすぎて、頭への血流が少なくなっている可能性があります。

首の両側には頸動脈という、脳へ血液を流す太い血管があり、血流低下を感知するセンサーの役割をしています。脳に充分な血液と酸素が送られないと、頸動脈はもっと血液を送ろうとして広がります。
しかし、後屈のポーズで首の頸動脈が圧迫されると、頸動脈は広がることができず、脳に充分な血液と酸素を送れないため、結果として、脳の血流不足で立ちくらみや目まいが起きてしまうのです。

改善方法としては、胸を高く持ち上げるようにすると首の力がぬけて、頸動脈への過剰な圧迫を防ぐことができます。
ラクダのポーズやブリッジともに、肩甲骨を寄せて胸を大きく開く感覚で行なうのがコツです。

 

↓ 立ちくらみや目まいを予防する方法を知っていれば、環境負荷のあるホットヨガも安心して楽しむことができます。

ヨガで立ちくらみや目まいが起こりやすい人

低血圧タイプ

ヨガでの立ちくらみや目まいは、脳に血液を送るための心臓のポンプ機能が弱い、いわゆる低血圧体質の人がなりやすいといわれています。
低血圧は生まれ持った体質なので、根本的な治療方法はないのですが、かといってヨガができないわけではありません。

低血圧タイプの人は、上記に挙げたような、ちょっとしたコツによって快適にヨガができるようになることが多いのです。

貧血タイプ

貧血気味の人も、ヨガをすることで立ちくらみ、めまい、虚脱感がひどくなる場合があります。
貧血状態とは、血の成分内容が悪く、血液が充分な栄養素と酸素を体全体に届けられないことをいいます。

日ごろから食生活に気を付けたり、ヨガの時は水分をこまめに摂って、血流を良くするなどの改善策を試してみてください。

メニエール病

目まいが起こる原因には、体質ではなく病的なものもあります。
例えば、メニエール病。内耳のリンパ液が増えすぎることで、三半規管に影響が出て、ひどい目まいや耳鳴りが起きる病気です。

もし、普段からあまりに目まいや立ちくらみが多い場合、こういった病気である可能性もあるので、注意が必要です。もし病気だった場合、ヨガをしない方が良い場合もあるので、医師と相談してくださいね。