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■ヨーガスートラの要点と解説

ヨーガスートラは、紀元500年ごろにパタンジャリによって書かれた、全4章195のスートラ(経文)からなるヨガの経典です。
経典の内容は、インド哲学の専門用語が多く難解なので、この記事では、ヨーガスートラは一体何を言わんとしているのか、その要点を簡単にまとめて解説したいと思います。

【ヨーガスートラ全4章】

第一章 サマーディ・パダ (三昧の章)
第二章 サーダナ・パダ (実践の章)
第三章 ヴィブーティ・パダ (成就の章)
第四章 カイヴァリヤ・パダ (絶対の章)

 

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第一章 サマーディ・パダ (三昧の章)

要点

第一章では、ヨガをする目的、ヨガが理想とする心の状態、ヨガで瞑想が深まるとどうなるのかが書かれています。

ヨガでは、感情(心)に振り回されることを良しとしません。

スートラ(経文)によると、感情を生む心の作用とは、①実際に体験したこと、②間違った思い込み、③空想、④熟睡(無知)、⑤記憶 の5つの要因から起こるものとしています。
そして、これら5つのの要因から起こる心の活動を止めることは、「ヨガの継続的実践」と「執着を手放すこと」によって実現できるとしています。

心の作用を止滅することがヨーガである。

「インテグラル・ヨーガ」より抜粋

解説
ヨガの継続的な実践で、心の作用を止める

ヨガは、競う相手がいないので勝ち負けはありませんが、反面、自分自身が相手なので、「めんどくさい」とサボることも簡単で練習がゆるくなったり、逆に「もっと上達したい!」とストイックになりすぎることもあります。
私たちは、つい怠けてしまう性質と、後先を考えずに活発になりすぎる性質を行ったり来たりすることで、中間の道を見つけるという事をヨガで学んでいるのです。

執着を手放して、心の作用を止める

人間の欲望は果てしないものです。
キレイな服も欲しい、カッコイイ車も欲しいと、もっといい仕事に就きたいと、欲求ばかりになることもあるでしょう。

ヨガの教えでは、過度な欲求は心を乱すと考えます。
物や状況に対する期待や要求を捨て、今の環境をありがたいと感じるようになると、日常の当たり前のことに感謝することができます。
そうなれば、何が起ころうと、落ち着いた心(心の作用が止まった状態)でいられるとヨーガスートラでは説いています。

第二章 サーダナ・パダ (実践の章)

要点

第二章は、ヨガで瞑想を深めてサマーディ(悟り)を得るための具体的な方法についての章です。
物事の考え方や行動、瞑想のための姿勢や呼吸法などが八支則(アシュタンガ)として記されています。

日常で行なうヨガは、瞑想で悟りを得て、苦をもたらす煩悩を弱めるためにあります。
ヨガのポーズも呼吸法も、全ては悟って幸せになるための方法であり、八支則の教え通りに一生懸命に修練すれば、悟りの実現は極めて早くなります。

「見る者(プルシャ)」と「見られる者(プラクリティ)」の結合こそが、回避されるべき苦の原因である。

「インテグラル・ヨーガ」より抜粋

解説

ヨガでは、煩悩=苦 の原因は、本当の自分を見失っていることにあると考えます。
”観察できる対象(体、考え、感情)= 見られる者” は本当の自分ではなく、”それらを観察している存在=見る者” が本当の自分で、その2つが分かれていないから苦しみが生じるとしています。

私たちの多くは、「自分の体」「自分の考え」「自分の気持ち」というように、”自分” と ”他” を区別して認識していますが、ヨガの修練によって、それらは ”自分の” ではなかったことに気付き、本当の自分は、自他の区別のない魂の存在だということが分かるようになります。

体や考えが自分ではないことが分かれば、病気やケガ、人間関係における苦しみなどと同化することがなくなり、苦しみから一歩引いたところに立って、状況を眺められるようになります。
その状態が、八支則によるヨガの練習で目指すべき境地なのです。

⇒「ヨガ八支則は人間を進化させる」の記事も参考にしてください。

第三章 ヴィブーティ・パダ (成就の章)

要点

第三章は、ヨガの修練によって、瞑想が深まると体得できる様々な能力について語られています。
食べたり飲んだりしなくても生きられる体になり、他人の心を読んだり、遠く離れた場所の出来事を知覚したりなどの超能力が身に付きます。

体の完全なコントロールが可能となり、どんな莫大な力を用いても動かすことができない体となり、心の完全な不動性も得るということが書かれています。

実践者が、この綜制 (サムヤマ)に成功するとき、あらゆる能力が彼の制御下にやってくる。

「インテグラル・ヨーガ」より抜粋

解説

ヨガと瞑想を一生懸命に修練したら、何のメリットがあるのかを説くのがヨーガスートラ第3章です。
悟りに達し、悟りの状態(サムヤマと呼ばれる状態)がずっと続けば、サイキックパワーや高度な直観力、神通力が体得できるといいます。

ですが、超能力を得たいがためにヨガと瞑想を実践しても、決して得られることはありません。
瞑想は、何らかの効果を求めたり、期待したり、メリットを得るためにやっても深い瞑想状態にはなれないので、悟ることができないからです。
悟りたいと思えば思うほど、悟りからは遠ざかってしまうという・・・ジレンマですね。

第四章 カイヴァリヤ・パダ (絶対の章)

要点

最終章の4章では、ヨガ実践により実現される、完成の境地への過程が解説されています。
完成の境地に至ると、全ての欲望とカルマが消し去られ、個人としての性質が無くなり、真我のみの存在となるので、輪廻転生が終了すると書かれています。

私たちの魂の進化は、本当の自分を知ることから始まり、だんだんと個人という意識が無くなることで最終段階(輪廻転生の終わり)に到達できるということです。

心の現われ方は様々かもしれないが、心の支配者は唯一で変わることがない。

「インテグラル・ヨーガ」より抜粋

解説

私たちは、なぜ生きているのでしょう?

それは、本当の私たち(真我)が、体と心を使って、この世を経験するためです。
真我という魂の存在は、自他の区別がないため、そのままでは何も経験できないのです。
体を持ち、心を持つ人間として生きて、様々な経験を積みたいから、私たちはこの地球に存在しています。

生きていれば、楽しいことばかりではなく、辛いことや悲しいこともあります。
そんなイヤな経験さえも、魂レベルで見れば、経験したかったことであり、その経験によって少しずつ魂が進化していくのです。

泣きたいほど辛いときでも、心の支配者(真我、魂)は「やった!また1つ良い経験ができた!」と楽しんでいるのですよ。

 

魂が進化を目指すための方法、心の在り方が書かれたヨーガスートラは、ヨガをしていない人でもスピリチュアルに興味があれば、とても興味深く読める本です。

最後に、オススメのヨーガスートラの本を紹介します。

インテグラル・ヨーガ (パタンジャリのヨーガ・スートラ)

出典:Amazon