Yoga is the lifestyle.

■ヨガの哲学は ”幸せに生きるためのアドバイス”

「哲学」というと難しい話のように聞こえますが、ヨガの哲学は、人間が幸せにより良く生きるための方法や在り方を示した、いわば ”アドバイス” のことです。

やってはいけないこと、すべきこと、生活習慣から心の在り方まで、ヨガの教えには、幸せになるためのステップがあります。
人や自然に対する思いやりを持つことから始まり、人としての成熟を目指し、最終的にはサマーディ(悟り)の状態になるのがヨガの目的です。

ヨガの哲学を知ると、ヨガのアーサナをする本当の目的や、身体と心を見つめることの意味が深いところで分かるようになり、ヨガがもっと好きになると思います。

難しく考える必要はありません。
ヨガ哲学には、日常生活を送る上で役に立つ教えもあるので、できることから少しずつやっていけばいいのです。

今回の記事では、ヨガ哲学の中の“見る者”と”見られる者”という概念をご説明します。

■ “本当の自分” に気付く

私たち人間は、「ボディ(身体)」・「マインド(心・脳)」・「スピリット(魂)」の3つの要素からできています。

普段、意識していないと、ボディとマインドはそれぞれ違うことをしています。

例えば、仕事をしながら休みの日は何をしようか考えたり、ジムのランニングマシーンで走りながら、備え付けTVのバラエティ番組を見ていたり・・・・

そして、身体が疲れて休みたがっているのに、忙しいからと休まずに働き続けたり、腰が痛いのに、無理して重いものを持ったり・・・・

そういうことも、身体(ボディ)の望みを無視して、脳(マインド)が「もっと働け」と指示しているので、ボディとマインドをバラバラにする原因になっています。

ヨガは、普段の生活でバラバラになりがちなボディとマインドを統合させます。
ヨガのアーサナ(ポーズ)で、身体に集中すると、伸びている筋肉や使っている関節の刺激が脳に伝わり、「もっとこうすればバランスがとれる」「ここを伸ばすと、脚が強くなる」など脳は考えて、身体(ボディ)と脳(マインド)はコミュニケーションをとり始めます。

身体の感覚に繊細に気付くことが、両者を統合させることにつながるのです。

そして、ヨガは、「ボディ」と「マインド」を統合させると同時に、「ボディ・マインド」と「スピリット」を切り離します。
スピリットとは、「ボディとマインド」の動きを観察している存在だと言えます。

例えば、ヨガのアーサナ「戦士のポーズⅠ」をしている時、だんだん太ももが痛くなり、手を上げているのも辛くなったとします。
身体は疲れ、頭では「早くポーズを止めたい」「なんでこんなキープ時間が長いんだ」など考えます。

スピリットは、そうした体と心の状態を観察している存在、つまり「見る者」です。
そして、環境や出来事に右往左往している「ボディ・マインド」の存在が、「見られる者」というわけです。

多くの人は、「スピリット」が「ボディ・マインド」と結合しているので、”身体と頭の中の考え” が自分自身だと感じています。

しかし、ヨガで自分の「ボディ」と「マインド」の状態を観察し続けると、第三者の視点から状態を観察している、もう一人の自分自身に気付くはずです。
それがスピリットであり、本来の自分(真我)なのです。

ヨガの哲学では、「見る者(スピリット)」と「見られる者(ボディ・マインド)」が切り離されていないから、“苦” が生まれるとされます。

身体や心(ボディ・マインド)が辛い状況にあっても、魂(スピリット)がその状況に巻き込まれないこと。
それができれば、“苦” にどっぷりはまってしまうことがなくなり、問題だったことが問題ではなくなったり、あるいは賢明な解決方法が分かるようになります。

まとめ

幸せにより良く生きるためのコツは、見る者(スピリット)と見られる者(ボディ・マインド)を切り離し、スピリットが ”本当の自分” だと気付くこと。
そうすれば、辛い状況になったとしても、魂である ”本当の自分” は、何の影響も受けないことが分かる。

■ヨガの目指すところ

今、ヨガは、古代インドから伝わる伝統的なものだけでなく、現代風にアレンジしたものもたくさんあります。
マタニティヨガ、シニアヨガ、パートナーヨガなど、誰もがヨガの効果を生活に取り入れられるように進化しています。

そして、ヨガをする人の動機や目的も様々ですが、それらすべてを受け入れる懐の深さがヨガの魅力で、世界的に広まっている大きな要因です。

どんなヨガであれ目指すところは同じで、一人一人が「生きる力を養い、幸せになること」を目的としています。
ストレス社会に生きる現代の私たちの誰もが、自分らしく生き生きと生活するために、ヨガ哲学が助けとなるはずです。